デシル分析・RFM分析・CTB分析・CPM分析の違いとは?4大顧客分析手法の使い分け完全ガイド

「顧客分析をやれとコンサルに言われたけど、デシル分析だのRFM分析だのCTB分析だの、名前が多すぎて結局どれを使えばいいのか分からない」「うちみたいな個人店にRFM分析なんて大企業向けの手法が本当に必要なのか」「とりあえずRFM分析の本を読んでみたが、自分の店の顧客データにどう当てはめればいいのか具体的なイメージが湧かない」——。集客のご相談をお受けする中で、こうした声を本当によく耳にします。

結論から言うと、顧客分析の4大手法「デシル分析」「RFM分析」「CTB分析」「CPM分析」は、それぞれ得意な分析の切り口が全く異なり、優劣ではなく「向き不向き」で選ぶべきものです。会員制で来店頻度データが取りやすいパーソナルジムやエステサロンはRFM分析が圧倒的に有効で、逆に来店頻度が低く一回あたりの単価がバラつく学習塾や整体院ではデシル分析やCTB分析の方が扱いやすいケースが多くなります。本記事では4手法それぞれの計算方法を架空の数値例を使って実際に手を動かしながら解説し、飲食店・居酒屋・パーソナルジム・学習塾・エステサロン美容室・整体院という6つの業種について「どの手法を使うべきか、なぜその手法が向くのか」まで具体的に落とし込みます。

  1. この記事でわかること
  2. そもそも顧客分析の「手法」はなぜ4つも存在するのか
  3. 手法1:デシル分析——最も導入しやすい「金額順ランキング」分析
    1. デシル分析の計算方法(3ステップ)
    2. 【数値例】デシル分析シミュレーション
    3. デシル分析が向いている店舗・向いていない店舗
  4. 手法2:RFM分析——優良顧客の「今の元気度」を可視化する分析
    1. RFM分析の計算方法(5段階スコアリング)
    2. 【数値例】RFM分析シミュレーション
    3. RFM分析が向いている店舗・向いていない店舗
  5. 手法3:CTB分析——「何を・どんな好みで」買うかを捉える嗜好性分析
    1. CTB分析の切り口
    2. 【数値例】CTB分析シミュレーション
    3. CTB分析が向いている店舗・向いていない店舗
  6. 手法4:CPM分析——顧客の「成長段階」を10グループで管理する分析
    1. CPM分析の10グループ分類
    2. 【数値例】CPM分析シミュレーション
    3. CPM分析が向いている店舗・向いていない店舗
  7. 分析を始める前に:最低限必要なデータ収集チェックリスト
  8. 4手法 比較早見表
  9. 業種別:どの分析手法を使うべきか
    1. 飲食店・居酒屋の場合:デシル分析+CTB分析の組み合わせが基本
    2. パーソナルジムの場合:RFM分析が最優先
    3. 学習塾の場合:CPM分析+CTB分析で保護者×生徒の二重構造を捉える
    4. エステサロン・美容室の場合:RFM分析+CTB分析のダブル活用が理想
    5. 整体院の場合:デシル分析からのスモールスタートが現実的
  10. ケーススタディ:分析から施策への落とし込み方
    1. ケース1:居酒屋「炭火酒場 縁-en-」— デシル分析×RFM分析の併用で客単価と離脱防止を両立
    2. ケース2:学習塾「進学個別ステップ」— CPM分析で退塾理由を切り分けて対策を分岐
    3. ケース3:エステサロン「Aroma & Skin ルミエール」— CTB分析×RFM分析でリピート施術メニューを最適化
  11. 4手法の組み合わせ活用パターン早見表
  12. よくある誤解・陥りがちな失敗
  13. よくある質問
    1. Q1. 4つの手法のうち、まず1つだけ導入するとしたらどれがおすすめですか?
    2. Q2. Excelだけで顧客分析はできますか?専用ツールが必須ですか?
    3. Q3. RFM分析のスコアリング基準(5段階に分ける境界線)はどう決めればよいですか?
    4. Q4. CTB分析を導入するために、POSレジのデータ入力をどう変えればよいですか?
    5. Q5. デシル分析で「デシル1」に入る顧客が毎回同じメンバーで固定化してしまうのは問題ですか?
    6. Q6. CPM分析の「10グループ」は必ず全て使わなければいけませんか?
    7. Q7. 個人店でも4手法をすべて実践する必要がありますか?
    8. Q8. 分析結果を見ても、具体的にどんな施策を打てばよいか分かりません。どうすればよいですか?
    9. Q9. 4手法を導入する順番に「正解」はありますか?
    10. Q10. 分析の頻度はどのくらいが適切ですか?毎月やるべきですか?
  14. まとめ:4手法は「優劣」ではなく「向き不向き」で使い分ける
  15. あわせて読みたい

この記事でわかること

  • デシル分析・RFM分析・CTB分析・CPM分析、それぞれの正確な計算手順と数値シミュレーション
  • 4手法の「向いている店舗タイプ」と「向いていない店舗タイプ」の見極め方
  • 飲食店・居酒屋・パーソナルジム・学習塾・エステサロン美容室・整体院、業種別のおすすめ分析手法とその理由
  • 実際の店舗を想定したケーススタディによる分析→施策への落とし込み方
  • 顧客分析でよくある誤解と、分析を「やっただけ」で終わらせないためのポイント

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そもそも顧客分析の「手法」はなぜ4つも存在するのか

顧客分析について調べると、デシル分析・RFM分析・CTB分析・CPM分析という4つの手法名にほぼ必ず出会います。「結局どれが一番優れているのか」と聞かれることが多いのですが、この問い自体が実はズレています。4つの手法は、それぞれ「顧客のどの側面を切り取るか」が根本的に異なる道具だからです。デシル分析は「金額」という一つの物差しで顧客を並べる最もシンプルな手法、RFM分析は「時間・頻度・金額」という3軸で顧客の“今の状態”を立体的に捉える手法、CTB分析は購買履歴の「金額」ではなく「何を・どんな好みで・どのブランドを買ったか」という嗜好性に着目する手法、そしてCPM分析は顧客が新規から優良顧客へと成長していく“ライフサイクル”そのものを可視化する手法です。この根本的な違いを理解しないまま「流行っているから」という理由でRFM分析だけを導入してしまうと、業態によっては全く機能しないという事態が起こります。まずは弊社にご相談いただく店舗オーナー様からよく聞く疑問を整理しながら、4手法をひとつずつ丁寧に解体していきます。なお、顧客分析全体の入り口や5つの基本的な分析手法の概要については顧客分析とは?個人店・小規模事業者でもできる5つの分析手法で解説していますので、まだご覧になっていない方はあわせてご参照ください。

もう一つ重要な視点は「分析にかかる手間とコスト」です。デシル分析は表計算ソフトの並べ替え機能だけで数十分あれば完了しますが、CPM分析は入会日・継続期間・支払履歴という複数のデータを正確に紐づけて集計する必要があり、初めて取り組む場合は数日単位の作業になることも珍しくありません。つまり4手法は「分析の深さ」と「必要な手間」がほぼ比例関係にあり、店舗の規模やスタッフのリソースに見合わない手法をいきなり選んでしまうと、分析作業そのものが継続できずに形骸化してしまいます。本記事の各手法の解説では、計算方法と数値例に加えて、必ず「向いている店舗・向いていない店舗」を明示しています。自店舗の現在地に合った手法を選ぶことが、遠回りに見えて実は最も成果への近道です。

手法1:デシル分析——最も導入しやすい「金額順ランキング」分析

デシル(decile)とは英語で「10分の1」を意味します。デシル分析は、一定期間の購入金額が多い顧客から順に全顧客を並べ、それを10等分してランク付けする分析手法です。POSレジや予約システムに蓄積された「購入金額」というたった1つのデータ項目さえあれば実行できるため、4手法の中で最も導入ハードルが低いという特徴があります。

デシル分析の計算方法(3ステップ)

  • ステップ1:分析期間(例:直近1年間)における顧客ごとの累計購入金額を集計する
  • ステップ2:購入金額が高い順に顧客を並べ替え、母数を10等分(デシル1〜デシル10)に分割する
  • ステップ3:デシルごとの売上合計・売上構成比・顧客単価を算出し、上位ランクへの売上依存度を確認する

【数値例】デシル分析シミュレーション

架空の居酒屋「炭火酒場 縁-en-」の会員顧客200名、年間売上合計800万円を例にシミュレーションしてみましょう。顧客を購入金額順に並べ、20名ずつ10グループに分割すると、以下のような分布になったとします。

デシル顧客数グループ売上売上構成比累積構成比
デシル1(最上位)20名168万円21.0%21.0%
デシル220名128万円16.0%37.0%
デシル320名96万円12.0%49.0%
デシル420名72万円9.0%58.0%
デシル520名56万円7.0%65.0%
デシル6〜10(下位50%)100名280万円35.0%100.0%

この結果から、上位20%(デシル1・2)の顧客だけで売上の37%を占めていることが分かります。いわゆる「パレートの法則(2:8の法則)」がどの程度当てはまっているかを定量的に把握できるのがデシル分析の最大の価値です。この店舗であれば、デシル1・2の40名には来店頻度が落ちる前にダイレクトメールやLINE公式アカウントで新メニューを先行案内し、デシル6〜10の100名にはクーポン付きの再来店施策を打つ、といった具体的な予算配分の意思決定ができます。

デシル分析が向いている店舗・向いていない店舗

向いている店舗:客単価に大きなばらつきがあり、POSデータの蓄積は十分だが会員システムや来店日時の細かいログまでは整備されていない店舗。具体的には物販中心の小売店、コース料理と単品注文が混在する飲食店などです。「とにかく今すぐ手元のデータで顧客のランクを可視化したい」という初期段階に最適な手法です。向いていない店舗:来店頻度の情報が施策上重要な業態(例えば「3週間来店がない優良顧客」を検知したい店舗)には不向きです。デシル分析は金額の合計だけを見るため、月に1回まとめて高額購入する顧客と、週3回コツコツ利用する顧客が同じデシルに分類されてしまうことがあり、これが後述する「見落とし」の典型例になります。

手法2:RFM分析——優良顧客の「今の元気度」を可視化する分析

RFM分析は、Recency(最終購入日=直近性)・Frequency(購入頻度)・Monetary(購入金額)という3つの指標の頭文字を取った分析手法です。デシル分析が「金額」という1軸だけで顧客を評価するのに対し、RFM分析は「最近来ているか」「よく来ているか」「たくさん使っているか」という3つの軸を掛け合わせることで、単なる金額ランキングでは見えない“今まさに元気な優良顧客”と“かつては優良だったが最近離れつつある休眠予備軍”を明確に区別できる点が最大の強みです。

RFM分析の計算方法(5段階スコアリング)

  • ステップ1:顧客ごとにR(最終来店からの経過日数)・F(分析期間内の来店回数)・M(分析期間内の合計購入金額)を集計する
  • ステップ2:R・F・Mそれぞれについて、全顧客を5等分し1〜5点のスコアを付与する(Rは経過日数が短いほど高得点、F・Mは数値が大きいほど高得点)
  • ステップ3:3つのスコアを「R-F-M」の形で組み合わせ、555(最優良)に近い顧客からセグメントを分類する
  • ステップ4:セグメントごとに具体的な施策(優待案内・離脱防止アプローチなど)を設計する

【数値例】RFM分析シミュレーション

架空のパーソナルジム「BODY LAB 中野店」の会員150名を対象に、直近6か月のデータでRFMスコアリングを行った例を見てみましょう。まず3名分の生データは以下の通りです。

会員最終来店からの日数6か月の来店回数6か月の購入金額RスコアFスコアMスコア
会員A3日48回18万円555
会員B45日30回12万円244
会員C90日10回15万円124

会員Aは「555」で直近性・頻度・金額のすべてがトップ層のロイヤル会員です。一方、会員Cに注目してください。6か月の購入金額だけを見ればデシル分析では上位ランクに入るはずの顧客ですが、RFM分析で見ると「最終来店から90日」「頻度スコア2」という危険信号が出ています。これはまさに「入会時に高額プランをまとめ買いしたが、直近は足が遠のいている休眠予備軍」であり、金額だけを見るデシル分析では絶対に発見できない、RFM分析ならではの発見です。150名全体をスコアリングした結果、次のようなセグメント構成になったとします。

セグメントRFMスコアの目安該当人数推奨アプローチ
優良顧客R4-5 / F4-5 / M4-522名パーソナルトレーナー指名権・優先予約枠などのVIP施策
安定顧客R3-4 / F3-4 / M3-441名継続利用への感謝メッセージ、友人紹介キャンペーン案内
離脱予備軍R1-2 / F3-5 / M3-518名個別連絡・カウンセリング面談の再設定、休会理由のヒアリング
新規顧客R4-5 / F1-226名初回3か月の継続率を上げる導入プログラムの強化
休眠顧客R1 / F1-243名再入会キャンペーン、または費用対効果を見て追客を停止

このように、購入金額という1軸だけでは見えなかった「離脱予備軍18名」を早期に特定できることが、RFM分析が会員制ビジネスで重宝される最大の理由です。

RFM分析が向いている店舗・向いていない店舗

向いている店舗:会員制・サブスクリプション型で来店日時のログが自動的に蓄積される業態が最も相性が良く、パーソナルジム、エステサロン、美容室、整体院の会員コースなどはまさに典型例です。継続課金型のビジネスモデルでは「離脱の兆候をいかに早く察知するか」が売上に直結するため、Recency軸を持つRFM分析の価値が非常に高くなります。向いていない店舗:一見客の比率が高く、会員登録や予約システムを通さない現金決済中心の店舗では、そもそもR・F・Mのデータを正確に取得できないため導入効果が薄くなります。また来店頻度が本質的に低い業態(数年に1度しか利用しないような業種)では「頻度」軸の意味が薄れるため、無理に導入すると分析コストばかりが増えてしまいます。

手法3:CTB分析——「何を・どんな好みで」買うかを捉える嗜好性分析

CTB分析は、Category(商品カテゴリ)・Taste(テイスト・好み)・Brand(ブランド)という3つの軸で顧客の購買履歴を分類し、その顧客がどんな嗜好性を持っているかを把握する分析手法です。デシル分析やRFM分析が「いくら使ったか・いつ使ったか」という金額・時間の軸で顧客を評価するのに対し、CTB分析は金額を一切見ず「何を選んだか」という質的な情報に着目する点が根本的に異なります。

CTB分析の切り口

  • Category(カテゴリ):購入・利用した商品やメニューの大分類(例:和食/イタリアン、ヘアカット/カラー/トリートメント)
  • Taste(テイスト):色・価格帯・ボリューム・雰囲気などの好みの傾向(例:辛口メニュー志向、ナチュラル系デザイン志向)
  • Brand(ブランド):特定のシェフ・トレーナー・スタイリスト・使用薬剤メーカーなど「指名性」の高い要素への嗜好

【数値例】CTB分析シミュレーション

架空の美容室「hair salon Rin」の来店履歴データをCTBの3軸で集計すると、以下のような顧客クラスタが浮かび上がったとします。

クラスタCategory傾向Taste傾向Brand傾向該当割合
クラスタ1カット+カラー中心トレンド重視・高頻度チェンジ特定スタイリスト指名率90%28%
クラスタ2トリートメント中心髪質改善・ダメージケア重視使用薬剤ブランドにこだわり34%
クラスタ3カットのみ時短・価格重視指名なし(フリー)が中心38%

この結果から、単に「客単価が高いか低いか」ではなく「なぜその顧客がその客単価になっているのか」という背景が見えてきます。クラスタ2の34%は薬剤ブランドへのこだわりが強いため、新しいトリートメントメニューを導入した際に真っ先に案内すべきターゲットです。クラスタ1の28%はトレンド感度が高いため、SNSでの新作カラー投稿への反応が期待できる層であり、インスタグラム施策のメインターゲットに設定できます。金額ベースの分析だけでは「客単価が近い顧客」としてひとくくりにされてしまうこの2クラスタを、CTB分析は明確に切り分けられるのです。

CTB分析が向いている店舗・向いていない店舗

向いている店舗:メニューやカテゴリの選択肢が豊富で、顧客ごとの好みの違いが施策に直結する業態、具体的には美容室(メニュー・薬剤・デザインテイストの多様性)、飲食店(ジャンル・辛さ・ボリュームの好み)、アパレル系小売などが該当します。新メニューやキャンペーンを企画する際に「誰に何を訴求すればよいか」を精緻に決められる点が強みです。向いていない店舗:提供するサービスがほぼ単一メニューで選択肢の幅が狭い業態(例えばメニューが1コースしかない整体院など)では、そもそも分類すべき嗜好の軸自体が存在しないため、CTB分析を導入しても有意な差が出ません。また購買履歴データを「カテゴリ・テイスト・ブランド」というタグ付きで記録する仕組みが必要になるため、POSシステムやカルテの入力項目を整備する初期コストがかかる点にも注意が必要です。

手法4:CPM分析——顧客の「成長段階」を10グループで管理する分析

CPM分析(Customer Portfolio Management)は、購入回数・購入金額・購入経過期間という3つの指標をもとに顧客を「新規」「育成」「安定・継続」「離反」といったライフサイクル上のステージに分類し、それぞれを「現役」か「離脱(休眠)」かでさらに2分割することで、最大10のグループに顧客を振り分ける分析手法です。RFM分析が“ある1時点でのスコア”を出すのに対し、CPM分析は顧客が新規獲得からロイヤル化、あるいは離脱へと移り変わっていく“動き”そのものをグループとして管理する点が特徴です。

CPM分析の10グループ分類

  • 初回・新規顧客(現役/離脱):初めて来店してから間もない層
  • 育成顧客(現役/離脱):2〜3回目の来店で継続化するかどうかの分岐点にいる層
  • 安定顧客(現役/離脱):一定のペースで継続来店している中核層
  • 優良顧客(現役/離脱):来店頻度・金額ともに最上位のロイヤル層
  • 流行(不安定)顧客(現役/離脱):来店にムラがあり傾向が読みにくい層

【数値例】CPM分析シミュレーション

架空の学習塾「進学個別ステップ」の生徒保護者120世帯(=顧客単位)を、入塾からの経過期間・継続月数・累計月謝支払額の3指標でCPM分類すると、以下のような分布になったとします。

グループ定義の目安該当世帯数優先施策
新規(現役)入塾3か月以内で継続中14世帯初期定着面談、学習習慣の可視化レポート送付
新規(離脱)入塾3か月以内で退塾6世帯退塾理由ヒアリングによる入塾説明の改善
育成(現役)4〜12か月継続中22世帯成績向上実感の提供、長期継続への動機づけ
育成(離脱)4〜12か月で退塾9世帯学年の壁・部活との両立などの阻害要因の特定
安定・優良(現役)13か月以上継続中38世帯紹介キャンペーン、上位クラス・受験コースへの案内
安定・優良(離脱)13か月以上継続後に退塾11世帯卒塾か不満退塾かの見極め、OB会・実績協力の依頼
不安定(休会含む)出席・支払いにムラがある20世帯個別事情のヒアリング、振替制度の柔軟化

この分類の価値は「新規(離脱)6世帯」と「育成(離脱)9世帯」を混同しないことにあります。入塾直後に辞める家庭と、1年近く通ってから辞める家庭とでは、離脱の原因も打つべき手も全く違います。前者は体験授業や初回カウンセリングの質に課題がある可能性が高く、後者はカリキュラムの停滞感や講師との相性など、より根深い要因が疑われます。CPM分析はこのように「同じ“離脱”でもステージによって原因が違う」という視点を与えてくれる、動的な顧客管理手法なのです。

CPM分析が向いている店舗・向いていない店舗

向いている店舗:顧客との関係が「入会・入塾・入会金支払い」のような明確なスタート地点を持ち、かつ継続利用が前提となる業態、学習塾・スポーツジム・エステサロンの会員制コースなどが典型です。「顧客が今どのステージにいて、次にどちらへ動きそうか」を予測しながら先回りの施策を打ちたい場合に最も力を発揮します。向いていない店舗:一見客が主体で「入会」という概念が存在しない業態(ふらっと立ち寄る飲食店の単発利用客など)では、経過期間という軸そのものが定義しづらく、CPM分析のグループ分けが機能しません。また10グループという細かい粒度は、顧客母数が少ない小規模店舗(数十人規模)では1グループあたりの人数が数人になってしまい、統計的な意味を持たせにくいという弱点もあります。

分析を始める前に:最低限必要なデータ収集チェックリスト

4手法の内容を理解しても、そもそも自店舗にそのデータが存在しなければ分析は始められません。ここで一度、自店舗が今どのデータをどこまで蓄積できているかを棚卸ししてみましょう。多くの店舗オーナー様が「分析したいができるかどうか分からない」という段階でつまずいているため、まずは以下のチェックリストで現状を確認することをおすすめします。

  • 【デシル分析に必要】顧客ごとの累計購入金額が、氏名または会員IDと紐づいた形でPOSレジや会計システムに残っているか
  • 【RFM分析に必要】顧客ごとの「最終来店日」「来店回数」がログとして自動記録される仕組み(会員カード・予約システム・LINE公式アカウントの来店連携など)があるか
  • 【CTB分析に必要】購入・利用したメニューや商品を「カテゴリ」単位でタグ付けして記録できているか(レジの商品マスタにカテゴリ区分が設定されているか)
  • 【CPM分析に必要】顧客ごとの「初回利用日(入会日)」が記録されており、継続期間を計算できる状態になっているか
  • 【共通】顧客データがスタッフ間で表記ゆれなく統一されているか(同一人物が別人として二重登録されていないか)

この5項目のうち、上位2〜3個しか満たせていない店舗であれば、無理に4手法すべてに手を広げず、まずは満たせている項目に対応した手法(例えば購入金額しか分からないならデシル分析)から着手するのが現実的です。逆にすでに会員システムやカルテアプリを導入していて来店ログ・メニューカテゴリ・入会日まで一通り記録が揃っている店舗であれば、いきなりRFM分析やCPM分析から着手しても十分に精度の高い結果が得られます。データが足りない項目については、POSレジの入力ルールを見直す、予約システムの会員登録を必須化するといった地道な運用改善が、実は分析手法そのものの選定よりも重要な土台になります。

4手法 比較早見表

ここまで解説した4手法の違いを一覧表に整理します。自店舗がどのタイプに近いかを確認しながらご覧ください。

手法着目する軸必要データ導入難易度最も得意なこと
デシル分析購入金額(1軸)購入金額のみ易しい売上への貢献度を素早く可視化
RFM分析直近性・頻度・金額(3軸)来店日・来店回数・金額やや易しい優良顧客と離脱予備軍の早期発見
CTB分析カテゴリ・好み・ブランド(3軸)購買品目の詳細タグやや難しい顧客の嗜好性に合わせた訴求内容の最適化
CPM分析回数・金額・経過期間(10グループ)入会日・継続期間・支払履歴難しい顧客のライフサイクル・成長段階の管理

業種別:どの分析手法を使うべきか

ここからは、ローカルビジネスの代表的な6業種について「どの手法から着手すべきか」を具体的に解説します。実務上は複数手法の併用が理想ですが、限られたリソースの中でまず何から始めるべきかという優先順位を示します。

飲食店・居酒屋の場合:デシル分析+CTB分析の組み合わせが基本

一見客とリピーターが混在し、来店が会員制で厳密に管理されていない飲食店・居酒屋では、まずはPOSデータだけで実行できるデシル分析で「上位顧客への売上依存度」を把握するのが第一歩です。その上で、宴会需要が多い店舗なのか、和食中心なのか居酒屋メニューが中心なのかといった注文履歴をCTB分析的に見ていくと、「辛口メニューを頻繁に注文する常連グループ」「コース料理中心の宴会利用グループ」といった塊が見えてきます。会員カードやLINE公式アカウントで来店ログを取得できている店舗であれば、RFM分析を追加して「最近来ていない元常連客」への再来店施策も併用すると効果的です。逆にCPM分析は「入会」の概念がない業態のため優先度は低くなります。

パーソナルジムの場合:RFM分析が最優先

月会費制・回数券制のパーソナルジムは、来店日時と支払履歴がシステム上に自動的に蓄積される、4手法の中でも特にRFM分析との相性が最も良い業態です。前述のシミュレーションで示したように「金額は高いが最近来ていない会員」を早期に検知できるかどうかが、退会率(解約率)に直結します。加えてCPM分析を併用し、「入会3か月以内の離脱」と「1年以上継続後の離脱」を切り分けて原因分析することで、入会直後のオンボーディングプログラムの改善と、長期会員向けの飽き防止施策の両方に手を打てます。デシル分析やCTB分析は、オプションメニュー(食事指導・サプリメント販売など)のアップセル施策を検討する補助的な位置づけで活用するとよいでしょう。

学習塾の場合:CPM分析+CTB分析で保護者×生徒の二重構造を捉える

学習塾は「保護者が支払い意思決定者、生徒が実際のサービス利用者」という二重の顧客構造を持つ点が他業種と大きく異なります。この特性上、入塾から卒塾・退塾までのライフサイクルを段階的に管理できるCPM分析が最も有効です。前述の「新規離脱」と「育成離脱」を区別する視点は、まさにこの業態のために生まれたと言っても過言ではありません。加えて、生徒の目標(受験対策・定期テスト対策・苦手科目克服など)や志望校のタイプによって好みが分かれるため、CTB分析的な発想でコース・カリキュラムの傾向をタグ管理しておくと、学年が上がるタイミングでの上位コース案内や講習会の訴求精度が高まります。来店(通塾)頻度は週1〜3回程度で固定的なことが多く、RFM分析のFrequency軸の変化に乏しいため、優先度はやや下がります。

エステサロン・美容室の場合:RFM分析+CTB分析のダブル活用が理想

エステサロンや美容室は、施術間隔(次回来店までの推奨サイクル)が明確に決まっている業態のため、「そろそろ来店してもよい頃なのに来ていない」という異常値をRecency軸で検知しやすく、RFM分析との相性が抜群です。例えば「カラーの推奨サイクルは6〜8週間なのに、10週間来店がない顧客」をシステムで自動抽出し、再来店を促すDMを送るといった施策が典型例です。あわせて、前述のCTB分析のシミュレーションで示した通り、メニュー・薬剤・スタイリストへのこだわりという嗜好情報を蓄積しておくことで、新メニュー導入時のターゲティング精度が大きく向上します。施術頻度データが非常に豊富に取得できる業態だからこそ、この2手法を軸に据えるのが王道です。

整体院の場合:デシル分析からのスモールスタートが現実的

整体院・接骨院は、慢性的な症状で継続通院する顧客と、急な痛みで数回だけ利用するスポット利用の顧客が混在しやすく、メニューの選択肢もエステサロンほど多様でないことが多いため、CTB分析やCPM分析のような多軸・多グループの手法をいきなり導入すると、データ不足でうまく機能しないケースが目立ちます。まずは購入金額(施術回数券やコース料金)ベースのデシル分析で上位顧客を可視化し、余力があればRFM分析でRecency軸を追加し「継続通院が途切れかけている患者」を検知する、という段階的な導入が現実的です。整体院の集客ターゲット設定についてはスーパーの集客ターゲット層はどう選ぶ?で紹介している考え方も、地域特性を踏まえたターゲット選定という点で参考になります。

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ケーススタディ:分析から施策への落とし込み方

ケース1:居酒屋「炭火酒場 縁-en-」— デシル分析×RFM分析の併用で客単価と離脱防止を両立

先述のデシル分析シミュレーションで上位デシル1・2に分類された40名について、LINE公式アカウントの来店ログをもとにRFM分析を追加実施したところ、40名のうち9名が「最終来店から60日以上経過」というRecency不良層であることが判明しました。金額だけを見れば紛れもない優良顧客ですが、直近の来店が途絶えているこの9名を放置すれば、上位デシルの売上そのものが徐々に目減りしていくリスクがあります。そこで店舗では、この9名限定で「お久しぶりのお客様へ、旬の新メニューを1品サービス」という個別クーポンをLINEで配信しました。結果、9名中5名が1か月以内に再来店し、うち3名はその後も月1回以上のペースで来店を再開しました。デシル分析だけでは「上位40名に一律のDM」という粗い施策しか打てませんが、RFM分析を重ねることで「本当に手を打つべき9名」にピンポイントで予算を投下できた好例です。

ケース2:学習塾「進学個別ステップ」— CPM分析で退塾理由を切り分けて対策を分岐

前述のCPM分析シミュレーションで「新規(離脱)6世帯」「育成(離脱)9世帯」に分類された計15世帯について、それぞれ退塾時アンケートを見直したところ、新規離脱6世帯のうち4世帯が「初回の学習方針面談が曖昧だった」という共通理由を挙げていたのに対し、育成離脱9世帯のうち6世帯は「学年が上がりカリキュラムのペースが合わなくなった」という理由でした。この違いを踏まえ、塾では入塾後1か月以内に必ず個別面談を実施する体制を新設するとともに、通塾7〜9か月目のタイミングで「学年別カリキュラム適合チェック」を追加しました。施策導入から半年後、新規顧客の3か月以内離脱率は従来の約3割から1割程度まで改善しました。もし全世帯を一つの「退塾率」という指標だけで見ていたら、この2つの異なる原因を混同したまま、的外れな全体施策を打ち続けていた可能性が高いでしょう。

ケース3:エステサロン「Aroma & Skin ルミエール」— CTB分析×RFM分析でリピート施術メニューを最適化

フェイシャル・ボディ・脱毛の3メニューを扱うエステサロン「Aroma & Skin ルミエール」の顧客180名を対象に、CTB分析でメニュー傾向を分類したところ、フェイシャル中心層が62名(34%)、ボディ中心層が48名(27%)、脱毛中心層が70名(39%)という構成比になりました。ここにRFM分析を重ね、各クラスタの中で「Recencyスコアが2以下(=推奨施術サイクルを大幅に超えて来店がない)」の顧客を抽出したところ、脱毛中心層70名のうち21名(30%)が該当し、他の2クラスタ(フェイシャル中心層は10%程度、ボディ中心層は15%程度)と比べて突出して高い離脱予備軍比率であることが分かりました。脱毛は施術完了後にリピートの必然性が下がるという特性上、放置すれば顧客が自然に離脱していく構造だったのです。そこでサロンでは、脱毛中心層の離脱予備軍21名に対して「乾燥が気になる季節のフェイシャルケア体験」という異なるカテゴリのメニューを提案するクロスセルDMを送付しました。結果、21名中7名がフェイシャルメニューで新たに来店し、そのうち4名はその後もフェイシャルの継続顧客に転換しました。CTB分析だけでは「離脱しそうな顧客」までは分からず、RFM分析だけでは「なぜ離脱するのか、次に何を提案すべきか」までは分からない——この2手法を掛け合わせることで初めて、原因の特定から具体的な次の一手までを導き出せた事例です。

4手法の組み合わせ活用パターン早見表

業種優先手法(1st)併用手法(2nd)優先度が低い手法
飲食店・居酒屋デシル分析CTB分析CPM分析
パーソナルジムRFM分析CPM分析CTB分析
学習塾CPM分析CTB分析RFM分析
エステサロン・美容室RFM分析CTB分析デシル分析
整体院デシル分析RFM分析CTB分析・CPM分析

この表はあくまで「最初に着手すべき優先順位」の目安です。データの蓄積が進み分析リテラシーが上がった段階では、業種を問わずRFM分析とCPM分析、あるいはデシル分析とCTB分析を組み合わせることで分析の精度はさらに向上します。自店舗の顧客セグメンテーションの軸そのものを見直したい場合は、顧客セグメンテーション4つの分類軸もあわせてご確認ください。

よくある誤解・陥りがちな失敗

顧客分析の手法自体は正しく理解していても、実際の運用段階でつまずくケースが少なくありません。ここでは弊社が現場でよく見かける誤解と失敗パターンを紹介します。

  • 「1つの手法だけで十分」という誤解:デシル分析で上位顧客を洗い出しただけで満足してしまい、その顧客が「今も元気なのか、実は離脱しかけているのか」という時間軸の情報を見ないまま施策を打ち、効果が出ずに分析自体をやめてしまうケースが非常に多く見られます。
  • 「分析して終わり」で施策に落とし込まない失敗:立派なグラフやセグメント表を作成したものの、「では誰に・いつ・何を・どうやって届けるか」という実行計画まで落とし込まれず、資料が作られただけで終わってしまう例が典型的な失敗です。
  • 母数が少なすぎるのに細かく分類しすぎる失敗:顧客数が数十人しかいない小規模店舗でCPM分析の10グループ分類をそのまま適用し、1グループあたり数人しかいない状態で「傾向」を語ろうとしてしまう、統計的に意味の薄い分析になってしまうケースです。
  • データの取得方法を店舗側で統一していない失敗:スタッフによってカルテやPOSへの入力ルールがバラバラで、同じ顧客の来店回数や購入品目が正確に記録されておらず、分析の土台となるデータ自体の信頼性が低いまま集計してしまう失敗です。
  • 「優良顧客だけに注力すればよい」という誤解:RFM分析やデシル分析で上位顧客ばかりを厚遇するあまり、新規顧客や育成顧客への投資が疎かになり、将来の優良顧客候補を先細りさせてしまうケースも要注意です。
  • 単発の分析で終わらせ、定点観測しない失敗:顧客分析は一度実施して終わりではなく、四半期・半年ごとに同じ手法で再計測し、セグメントの移動(優良顧客→離脱予備軍など)を追跡してこそ価値が生まれます。1回きりの分析で満足してしまうと、変化の兆候を見逃します。

これらの失敗の多くは、手法選びそのものよりも「運用体制」に起因しています。分析手法を正しく選ぶことと同じくらい、誰が・どのくらいの頻度で・どう施策に反映するかという運用ルールを事前に決めておくことが重要です。セグメンテーションとターゲティングを混同したまま施策を進めてしまう失敗も多く見られますが、この2つの違いについてはセグメンテーションとターゲティングの違いで詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

よくある質問

Q1. 4つの手法のうち、まず1つだけ導入するとしたらどれがおすすめですか?

会員制で来店ログが自動的に蓄積される業態(ジム・サロン・美容室など)であればRFM分析が最も費用対効果が高くおすすめです。一見客中心で会員データが未整備な飲食店などの場合は、まず購入金額データだけで実行できるデシル分析から始め、データ整備が進んだ段階でRFM分析やCTB分析に発展させるのが現実的な進め方です。

Q2. Excelだけで顧客分析はできますか?専用ツールが必須ですか?

デシル分析やRFM分析は、顧客数が数百人規模までであればExcelの並べ替え機能とピボットテーブルで十分実行可能です。実際に多くの個人店・小規模事業者様がExcelやスプレッドシートで運用されています。ただしCTB分析やCPM分析のように分類軸が多く顧客数も多い場合は、集計作業が煩雑になるため、顧客管理システム(CRM)や予約システムに搭載された分析機能の活用を検討することをおすすめします。

Q3. RFM分析のスコアリング基準(5段階に分ける境界線)はどう決めればよいですか?

最もシンプルな方法は、本記事のデシル分析と同様に、全顧客を各指標(R・F・M)ごとに数値順に並べ替え、人数を機械的に5等分する方法です。業態によっては来店頻度の分布が極端に偏ることもあるため、まずは機械的な5等分で試してみて、実際のセグメント人数のバランスを見ながら境界値を微調整していくのが実務上おすすめの進め方です。

Q4. CTB分析を導入するために、POSレジのデータ入力をどう変えればよいですか?

まずは商品・メニューごとに「カテゴリタグ」を付与するところから始めるのがおすすめです。例えば美容室であれば施術メニューに「カラー/トリートメント/パーマ」といった大分類タグを、飲食店であれば「和食/洋食/アルコール」といったタグを設定します。全ての商品に細かいタグを一度に付けようとせず、まずは主要カテゴリだけをタグ化し、運用しながら徐々に精度を上げていく段階的なアプローチが現実的です。

Q5. デシル分析で「デシル1」に入る顧客が毎回同じメンバーで固定化してしまうのは問題ですか?

それ自体は必ずしも悪いことではなく、むしろ安定した優良顧客層が育っている証拠とも言えます。ただし注意すべきは、その固定化した上位顧客層が高齢化・固定客の卒業などで自然減少するリスクです。デシル1・2の顧客に依存しすぎている場合は、RFM分析やCPM分析を併用して「次世代の優良顧客候補(育成顧客)」がどれだけ育っているかも定期的に確認することをおすすめします。

Q6. CPM分析の「10グループ」は必ず全て使わなければいけませんか?

いいえ、必須ではありません。特に顧客数が数十〜百名程度の小規模店舗では、10グループをそのまま使うとグループごとの人数が少なくなりすぎるため、本記事のケーススタディのように「新規・育成・安定優良・不安定」といった4〜7グループ程度に簡略化して運用しても十分に効果があります。重要なのは分類の細かさではなく、離脱の兆候を段階別に捉えるという考え方そのものです。

Q7. 個人店でも4手法をすべて実践する必要がありますか?

すべてを同時に実践する必要はありません。本記事の「業種別:どの分析手法を使うべきか」でご紹介した通り、まずは自店舗の業態に最も適した1〜2手法から着手し、運用が定着してから他の手法を追加していくステップアップ方式をおすすめします。特にリソースが限られる個人店では、無理に4手法すべてを回そうとして中途半端になるよりも、1つの手法を確実に施策へ落とし込む方が成果につながります。

Q8. 分析結果を見ても、具体的にどんな施策を打てばよいか分かりません。どうすればよいですか?

分析はあくまで「誰に、どんな状態の顧客がいるか」を可視化する手段であり、そこから先の施策設計にはマーケティングの専門知識や、地域特性を踏まえたエリアマーケティングの視点が必要になることが多くあります。自店舗のデータだけでは判断が難しい場合は、無料相談で専門家に分析結果を持ち込んでいただければ、業種・地域特性を踏まえた具体的な施策プランをご提案することが可能です。

Q9. 4手法を導入する順番に「正解」はありますか?

絶対的な正解はありませんが、一般的には「データ要件が少ない手法から段階的に発展させる」順番がおすすめです。具体的には、まず購入金額データだけで完結するデシル分析で全体像を掴み、来店ログが整備できたらRFM分析で優良顧客と離脱予備軍を切り分け、メニューのカテゴリタグが整ってきたらCTB分析で嗜好性を深掘りし、最後に会員データの蓄積が十分になった段階でCPM分析によるライフサイクル管理に発展させる、という流れが多くの店舗で無理なく実践できています。

Q10. 分析の頻度はどのくらいが適切ですか?毎月やるべきですか?

業態や顧客の来店サイクルによって異なりますが、目安としてはデシル分析・RFM分析は3か月に1回程度、CTB分析・CPM分析は半年〜1年に1回程度の頻度で再計測するのが実務上バランスの取れた運用です。来店頻度が高い業態(週数回利用するパーソナルジムなど)はやや高頻度に、来店サイクルが長い業態(数か月に1度の整体院など)はやや低頻度に調整するとよいでしょう。重要なのは、毎回同じ条件・同じ集計方法で計測し、セグメント間の顧客の移動を時系列で追跡できるようにしておくことです。

まとめ:4手法は「優劣」ではなく「向き不向き」で使い分ける

デシル分析・RFM分析・CTB分析・CPM分析は、それぞれ「金額」「直近性×頻度×金額」「嗜好性」「ライフサイクル」という異なる切り口を持つ分析手法であり、どれか1つが万能というわけではありません。会員制で来店データが豊富なパーソナルジムやエステサロンにはRFM分析、保護者と生徒という二重の顧客構造を持つ学習塾にはCPM分析、一見客が多くまずは手軽に始めたい飲食店や整体院にはデシル分析というように、自店舗の顧客構造とデータの蓄積状況に合わせて最適な手法を選ぶことが、分析を「やっただけ」で終わらせず成果につなげる第一歩です。

本記事で紹介した数値例やケーススタディはあくまで一例ですが、実際に自店舗のPOSデータや予約システムのログを使って同じ手順を当てはめてみると、意外な発見があるはずです。まずはお手元のデータで実行しやすいデシル分析から始めてみるのも良いですし、会員制ビジネスであれば思い切ってRFM分析から着手するのも良いでしょう。どの手法から着手すべきか迷う場合や、分析結果をどう施策に落とし込めばよいか分からない場合は、ぜひ一度ご相談ください。

なお、顧客分析の基本的な考え方や5つの分析手法の全体像を先に押さえたい方は顧客分析とは?個人店・小規模事業者でもできる5つの分析手法を、セグメンテーションの分類軸そのものを見直したい方は顧客セグメンテーション4つの分類軸を、それぞれあわせてご覧いただくことで、本記事の内容をより実践的に活用いただけます。

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